デジタルお絵描きのススメ
アナログお絵描きで失敗した人は一度デジタルをお試しあれ
絵が苦手でも絵(らしいもの)が描けるようになるコツ2回目。今回は、デジタルお絵描きのすすめです。デジタルお絵描きでは、PCやタブレットを使って絵を描きます。
あれっ?と思った人もいるかもしれませんね。前回、下書きはアナログがいいとあんなにすすめていたのに、と。

下書きに関しては、鉛筆などを使った手書きを強くおすすめします。しかし、それから先の段階は逆にデジタルをおすすめします。
特に私のようにアナログお絵描きで挫折を繰り返してきた人は、デジタルへの移行によって絵の上達が見込める可能性があるからです。試す価値はあります。
萌え系のイラストはデジタルお絵描きの一部でしかない
デジタルお絵描きというと、美少女系のキャラクターを想像されるかもしれません。実際書店でもPCで絵を描く本といえば、萌え系の美少女がトップの本ばかりであります(私も勉強のために1冊持ってます(笑))。
今日本ではあの手のイラストがブームなのは確かです。しかしソフト側の機能としては、水彩や油彩といった絵画もちゃんと描けます。事実海外では、アナログにも劣らない本格的な油絵をPCやタブレットで描いている絵描きがたくさんいます。
デジタルで描かれた作品の一例です。時代はすごいところまで来たなぁとつくづく思います。
家にPCがあれば、ペンタブを買うだけでお絵描きを始められる
デジタルお絵描きのデビューとして一番簡単なのは、PCにUSB接続でペンタブレット(※略称:ペンタブ)を接続する方法です。ノートPCや画面が大きいタブレットにもつなげます。
近年、性能の良いペンタブが格安で買えるように。しかもお絵描きソフトとセット売りになっているものが多く、あとから「ソフトはどれがいいだろう?」と悩む必要がありません。
ちなみに、PCで趣味の絵を描く=Wacom(ワコム)のペンタブというくらい、Wacom社のペンタブはシェアがあります。マウスで線を描くのとは異なり、ペンタブで描いた線には筆圧による強弱がつきます。このWacomの技術は東芝など一部のタブレットにも利用されており、ペンがWacom製かどうかにこだわって機種を選ぶ人もいるほどです。
ただ難点は、慣れるまでに数ヶ月は時間がかかるであろうということ。
タブレットのように直接画面に書きこむわけではないので、距離感をつかみにくいのです。練習には、普段のネットサーフィンや書類作成をペンタブで行うのがグー。意外な効用としては、ペンタブに切り替えてから持病のようだった腱鞘炎がだいぶ良くなりました。
これがペンタブです。筆圧感度や無線などの機能、セットになっているお絵描きソフトの種類等で値段が変わります。
私は一番上にあげたsmallの旧製品を使ってます。これにArtRage(アートレイジ)というお絵かきソフトをセットで使い、水彩画や油絵を描いてます。
ペンタブにはサイズがあります。大きい方が絵を描きやすいと一般的に言われてますが、サイズがあるとその分手を動かす距離(労力)が増えるので、人によりけりかも。
タブレットを使えば、いつでもどこでも絵を描ける環境が手に入る

休憩時間、隙間時間を絵の練習タイムとして活用
私がデジタルお絵描きへ移行して、絵が上達した大きな要因。それは練習時間が大幅に増えたことだと思います。タブレットとスタイラスペンを揃えたことにより、外出先でも絵の練習ができるようになったんです。
現在フリーの講師業をしているため、次の訪問先まで何時間も間が空いてしまうときがあります。
そんなときは喫茶店にこもってジュースを飲みつつ、タブレットでお絵描き練習。休みの日も図書館のPC持ち込み席を利用して、館内の水彩画の本を手本にしつつ、絵の練習をしていました。
またタブレットは数秒で電源が入るため、家を出るまであと15分ある、なんて隙間時間にもこれまた絵の練習。機動性の良さも練習時間の増加に役立ちました。
公園で絵を描いていても、人に覗かれず、描くことに集中できる
これが本物の絵画だと、いつでもどこでも練習というわけにはいきません。最近はパレットや絵の具も小型化しているとはいえ、お店ではまわりの物を汚さないか心配ですし、図書館などもってのほかです。家か、近所の公園にでも道具を持って出かけるしかありません。
でもいざ公園に出かけたところで、今度は人の目が気になります。私自身誰かが公園で絵を描いていると、気になってわざとその人のそばを通ったりします(笑)。
もちろん上手な人でしたら、「お上手ですね」なんて言われて良い気分間違いなしです。けれども、下手な人にとっては苦痛でしかありません。もうスケッチブックを広げただけで、誰かに見られないかとソワソワします。
その点iPadなどのタブレットであれば、お店や公園で操作していても気にする人はいません。落ち着いて練習に集中できます。もちろんPCのように大きな絵は描けませんが、絵のスキルを上げる練習用としてはタブレットが一番優れていると思います。
アナログは基本的に”一発勝負”。容易に失敗できない
デジタルお絵描きは何度でもやり直しができる
私も経験があるのですが、手のかかる下書きをようやく終えて、「さあ、やっと着色だ!」という喜びもつかの間。いざ!と色を塗ってみたものの、色が大きくはみ出た、微妙な色になってしまった、という残念な結果になったりします。
水彩であれば濃くなりすぎた色を水で軽く洗い流すとか、アナログお絵描きでもまったく修正の手がないわけではありません。
しかし、いつも直せる状況とは限りませんし(油性色鉛筆の場合、表面がロウでツルツルになってしまうと別の色がうまく乗りません)、第一完璧に元に戻せるわけではありません。
それがアナログの宿命であり良さでもあるとわかってはいるものの、悔しい思いをした経験は誰でも一度はあるのでは?
失敗した絵を見てテンションダウン。そして挫折へ
基本”一発勝負”というアナログお絵描きの特性は、絵が下手な人にとっては絵の上達を阻む壁ともいえます。
もちろん、絵は必ずしも、きれいに仕上げなければいけないわけではありません。しかし、見るからに失敗しましたという絵は、絵が下手だというコンプレックスを刺激されて心苦しいのです。以前の記事でもふれましたが、自分は絵が下手だと自覚している人にとって、“自分の絵を見て、精神的に耐えられるか”は非常に重要なポイントです。
これが絵の教室だと最悪です。みんなで同じモチーフを描いているわけですから、初心者同士でも絵の優劣はさすがにわかります。
他の人より下手な自分、教室の中で一番下手な自分(まさに私がそうでした)。そう気付いてしまったが最後、気持ちが萎えて挫折へとつながってしまいます。だから、気分といえども大事なポイントなのです。

デジタルであればやり直しが効くため、「素人目にもおかしい」といった致命的な失敗は回避できるようなります。つまり、大きく気持ちが凹むリスクを減らせるのです。
ファイルのコピーによって、絵の可能性を広げられる
デジタルお絵描きではやり直すことはもちろん、作業途中のファイルを残しておいて、そこからまったく別の絵を目指すこともできます。
一発勝負のアナログでは、「あの技法を試してみようか」「別の色で描いてみたらどうなるかな」と思っても、容易に試すことができません。試すとすれば、下絵をとっておいて転写して、すべてを一から塗り直すことになるでしょう。
デジタルであれば、迷ったその場でファイルのコピーを作成できます。最初の絵が完成した後、コピーしたファイルを使って、1枚目とは違った色使いで2枚目の絵を作成できます。
描き終えた絵は、自分のサイトやSNSに投稿するのはもちろん、年賀状やオリジナルグッズ(便箋、Tシャツなど)作り等に活用することもできます。こうして絵の可能性を広げられるのも、デジタルお絵描きの大きなメリットです。
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