日記が続かなかった理由。毎日が平凡すぎて、しかも書くのが面倒だから

私が途切れなく日記を書けるようになったのは、ここ数年のことです。それまでは日記を書いては中断を繰り返してきました。
日記が続かない理由は簡単です。わざわざ書きたくなるようなイベントが起こらないからです。記録に値するドラマチックな出来事は年に数日あるか、はたまたゼロか。
嫌なことがあって、それきり中断したこともあります。単純に日記をつけるのが面倒でもありました。きっと世の中の人が考えている日記が続かない理由も、似たようなところではないでしょうか。
そんな挫折続きの日記でしたが、今では多い日で原稿用紙8枚分(3200字)ほど書いています。日記は、ちょっとした思考の切り替えでスラスラ書けるようになるんです。
日記に書くイベントがない? それなら自分の思いを書くべし

大人になって日記を再開するも、また行き詰まる
そもそも子ども時代に何度も中断してきた日記を、なぜまた大人になって再開しようと思ったのか。それは、趣味で書いている小説のネタ帳として使うためでした。
あるケータイ小説の作家さんが、日常のことを日記に書き付けておくと小説のネタになる、と日記を絶賛していたんです。そうですか、それなら日記を書いてみましょか、と軽い気持ちでスタートしました。
そして当然ながら、すぐ行き詰まりました。過去何度も挫折していたのですから、不思議はありません。家と会社を毎日往復してみたところで、めぼしいイベントが起こるわけでもありませんしね……。
日記に出来事を綴るのはあきらめて、思ったことを書き始める
そんなある日、ふと思いつきました。小説のネタ帳として使うのなら、思考を書き留めたらどうだろう?
さっそく、今日思ったことを記してみました。
「昨日読み終わった本、すっごく良かった」
「久し振りにコンビニ入ったら、おもしろいもの見つけた」
これなら比較的すらすらと書けます。
さらに、日頃考えていることも書いてみました。
「どうして父は口が乱暴なんだろう」
「ニュースではああ言っていたけれど、私は違うんじゃないかと思ってる」
日々の出来事は同じでも、気持ちや考えはその都度変化します。書く内容には事欠きませんでした。
誰にも言えない悩み。日記にだけは本音を打ち明けられた
日記が孤独な私の相談相手になってくれた

日記を再開した当時、私は派遣社員として働いていました。ところがある日。5年も働いていた会社から、契約の打ち切りを打診されました。俗に言う派遣切りです。
社内で契約を切られる派遣は私だけでした。その会社ではあるソフトを開発していて、私は操作を教えるインストラクターでした。しかし、そのソフトが近頃さっぱり売れなくなり、講習会の予定はがら空きでした。そこで目をつけられたわけです。
まさに晴天の霹靂。今後どうしたらいいのかわからず、私は途方に暮れました。社員同士の仲が大変良い会社で、私もプライベートで付き合いのある同僚や先輩がいました。けれども、まだこの会社で働く彼らに会社に対する不満は漏らせませんでした。
日記を使って自分自身と対話する。一人二役のセルフコーチング

そこで、日記に自分の気持ちを書くようになりました。
その頃読んでいたセルフコーチングの本にヒントをもらって、日記の中には話し相手を立てました。つらい気持ちを受け止めてもらうためです。
話し相手が尋ねます。
「それで、君はどうしたいのかな?」
「どうしてそんなに不安なんだい?」
私は1人二役を務め、日記に話し相手からの質問文と自分自身からの回答を記します。
「やっぱり、人に教える仕事をしたい」
「私1人だけ会社を出て行かないといけないなんて。私、ひとりぼっちだ」
こうやって、質問と回答を繰り返して自分自身と対話を重ねました。
もちろん、まわりに心配してくれる人はいました。それでも一番の味方は自分であり、一番の理解者も自分自身でした。
だから、心の奥底で欲しがっていた共感の言葉も贈りました。
「わかるよ。ずっとあそこにいられる、みんなと一緒にいられると思っていたんだね」
そうやって毎日日記を書いているうちに、気持ちが変化してきました。不安が静まり、前向きに今後のことを考えられるようになったんです。
それ以来私は、自分と対話し、自分を励ますツールとして日記を活用してきました。あ、もちろん小説のネタも書き留めてますよ、こちらはかなり細々と(笑)。
1日1行でもいい。日記を書くことから始めよう
日記が心にひそむプライドを暴き出す
まずは1日の一言の感想からかまいません。自分の思いを吐き出す場として、日記を始めてみませんか。日記は心を解きほぐす強力なアイテムです。日記を書くことで、素直になって自分自身と向き合うことができます。
心の中に余計なプライドがある人は、日記を書くと一発でわかります。仕事で失敗した話、誰かに迷惑をかけてしまった話など、自分に非がある話を素直に書くことができますか?
実はこれ、やってみると案外できないんです。全面的に自分が悪いのに、ちょっと罪を軽くして書いてしまうとか(笑)。プライドが自己防衛をしてくるのです。

だから最初は、日記を書いていて居心地悪く感じることもあると思います。
私も最初は、自分の中に凝り固まった汚れみたいなプライドが住み着いているのに驚きました。でも大丈夫。そのうち、自分から素直に書けるようになります。「悪いことしたな」「相手の言い方もひどかったけれど、私の言い方も良くなかった」って。
大事な思いも書き留めないと消えてしまうから、日記に書く
なにも書かずとも、心の中で自分と対話できる――そう思う人もきっといるでしょう。でも、「書く」と「思う」では雲泥の差があるんです。
書いたものは目に見える形で残ります。手を動かして文字を書くことで、言葉は心に刻み込まれます。思考はしばらく経つと消えて思い出せなくなってしまいますが、文字は後から振り返ることができます。
月日が経って当時の日記を読み返せば、過去の自分とも対話ができます。「あの頃の自分はあんなことを考えていたんだ。一生懸命だったな。まさか数年後こうなるだなんて想像もしていなかっただろうなぁ」。
未来から過去を俯瞰することで、自分の思いの変化を辿ることができます。そこからまた新しい自分を発見できるのです。
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